兵庫県は北は日本海、南は瀬戸内海に面している、国内でも珍しく2つの海に面している県である。それもあり県内の地域はそれぞれで発展しており、地域社会に密接した地場産業の産地も各所で形成されている。大きく分けても5業種の産業が兵庫県では発達しているので、それぞれ紹介しよう。
まず、欠かせない産業に食料品がある。播州や淡路方面の素麺は全国的にも大いに有名で、醤油や清酒も県内では盛んに製造されている。また、糸や手袋、アパレルなどの繊維品も忘れてはいけない。地場産業として大きく成長している播州織なども有名な繊維品の一つだろう。
また、機械・金属産業も県内では盛んで、家庭用刃物やボルト・ナット、釣針などは全国と比べても高い生産高を誇っている。さらに、宝殿石などの石を使った加工品や日本六古窯のひとつに数えられる丹波立杭焼など、窯業・土石の産業も盛んである。そして皮革や真珠加工、ケミカルシューズなどの化学・雑貨も有名な産業といえるだろう。特に国内洋家具の発祥地としても有名な神戸では、神戸家具という独自のデザインとして全国にも浸透している貴重な産業だ。
このように、兵庫県内では多様な産業が発達しており、いずれも全国で有名なものになっている。各地域で産業は盛んになっているが、特にこうした産業における製品の出荷数が高いのが神戸市であり、主要産業の事業所数で見ると20%は神戸市が占めているとされる。県内の中でも都会的な側面を見せている神戸市は、こうした産業分野でも数多く貢献していることが分かるだろう。